現地調査を終えて
信頼と連携が被害拡大を防ぐ
上野 吉子
輪島市門前町は世帯数が3,349世帯、人口約7,800人。世帯数は藤が丘二丁目AとBを合わせたぐらいの規模です。
私たちの住むこの街が震度6強という大地震に見舞われたら……。そんなことを思いながら今回の現地調査に臨みました。
今度の地震では家屋倒壊などの被害が大きかったのに人的被害が少なかったことについて、町災害対策本部の木島正一さんは次の3つの理由を挙げてくれました。
①発生時間(午前9時42分)が良かった。
*朝食が終わった後なので、火を使っていた家が少なかった。
②雪国ならではの建築構造が幸いした。
*家屋の柱やはりが太く一気に崩れず、崩れても空間があって自力脱出できた。
③防災訓練が役立った
*門前町では昨年11月に防災訓練を行ったばかりで住民は避難場所を知っていた。
門前町では区長さん(自治会長・町内会長)と呼ばれる方々と社会福祉協議会、民生委員、行政(福祉保健課)の連携がとれており、12年前から地域見守りネットワークを作っています。
昨年11月の大規模防災訓練は、このネットワークが主体となって高齢者や子ども、障害者も参加しました。周りの人に助けてもらいながら担架や車椅子を使い避難訓練を行い、これが今回の地震で役立ちました。地域の協力体制、信頼関係が被害を最小限にとどめた原動力だと感じました。
役立った見守りネットワーク
豊崎 智子
今回、門前町を訪問して多くの方々から教訓になるお話を沢山お聞きしました。特に強く感じたことは、「要援護者や要支援者を救うための地域見守りネットワークを作りの大切さ」でした。
門前町では阪神大震災をきっかけに平成7年から見守りネットワークを作り始めました。見守り対象者は地域に住む65歳以上の一人暮らし世帯、高齢者夫婦世帯、寝たきりの高齢者がいる世帯、障害者のいる世帯などです。
そのシステムは、一人の民生委員と数名の福祉推進員が協力し合って高齢者や障害者を見守り、福祉推進員は月に一回、訪問結果を民生委員に報告しています。
福祉推進員は地域の世話好きの方とか、人望のある方が選ばれていて、年間5,000円の電話代が支給されるだけですが、福祉推進員に選ばれることに誇りと喜びを感じているようでした。
見守りの基本となるマップですが、まず行政から民生委員に高齢者などの名簿が渡され、民生委員は名簿に基づいて対象者宅を訪問し個別に色分けしたマップを完成させます。
これらのマップは社協、福祉保健センター、消防署、区長(自治会長)がそれぞれ保管し、民生委員は担当地域分だけを保管。12月に一斉見直しして更新しています。
対象者は身近にいる民生委員、福祉推進員が常に見守ってくれることを心強く感じているようで、マップの存在が素直に公認されていると感じました。
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